
大学生が勉強にかんして抱えている典型的な悩みの一つは、レポートにまつわるものではないでしょうか。私が大学で学生と話していても、こんな声がよく聞こえてきます。
- レポートの書き方があんまりよくわかってない気がする
- これまでなんとなくレポートを出してきたけど、そもそも書き方があってるか不安だ
この記事では、このような悩みに答えていきます。
ただし、レポートの書き方について体系的に説明しようとするとかなりの分量になってしまうので、今回は「提出前に確認しておくべき項目」に的を絞ります。ですから、ある程度はレポートの書き方について知っている人向けの記事になります。
とはいえ、ここに書かれてあることをしっかりと実践することができれば、どのような人でも、かなり点数が底上げされるはずです。
提出の直前から一週間前くらいをめどに読んでおくとよい内容です。もちろん書き始める前に読んでもらってもかまいません。
✔︎ 本記事のテーマ:
レポートを提出する前に確認しておくべき「5つのポイント」について解説する
なお、本記事の内容は、日本語で書く場合・英語で書く場合いずれにおいても参考になるものです。
※英米圏と日本の大学のレポート(英語ではessayといいます)の書き方は、基本的に同じ原則・ルールで成り立っています。
✔︎ レポートを提出する前に確認すべき5つのポイント:
- 序論・本論・結論の構成になっているか
- 本論はパラグラフ・ライティングのルールにのっとって書かれてあるか
- センテンスはロジカルかつクリアに書かれているか
- 参考文献表はきちんとした形式で書かれているか
- その他、基本的な体裁やレイアウトにかんするルールをまもれているか
私自身研究者としてこれまで多くの論文・レポートを書いてきましたし、大学ではレポートの書き方を学生に教えるクラスを長く担当してきました。本記事では、こうした経験や、論文・レポートの書き方にかんする参考書から得られた知見を踏まえて、解説していきます。
なお、以下では、5つのポイントをさらに細かく分けたチェック項目を設けました。「□」で示しておきましたので、利用してみてください。
1. 序論・本論・結論の構成になっているか

【チェック項目】
□ A. 序論・本論・結論の3部構成になっていますか?
□ B. 序論と結論の両方がありますか?
□ C. 序論には、①どのような問題を、②なぜ論じるのかが明確に書かれていますか?
□ D. 結論は、本論で示した複数の論拠を要約・整理し、序論で設定した問いに答えていますか?
✔︎ A. 序論・本論・結論の3部構成になっていますか?
大学のレポートは、序論でテーマを示し「問い」をたて、本論で複数の論拠を示しながら、結論で「問い」に答えるというお決まりの型をもっています。序論・本論・結論の3つのパートがそろっていない文章は、正しく書かれたレポートとは呼べません。
序論は「イントロダクション」、あるいは「はじめに」とも表現されます。結論は「結び」とか「結びにかえて」でもいいですね。本論は、「本論」とレポートに書く必要はなく、「第○章」のような表記で複数の章があることが示されます(本論は、3章構成になることが多いです)。
レポートの文字数がそれほど多くない場合は、「序論」、「第1章」、「第2章」、「第3章」、「結論」というような表記をあえて用いないこともあります。それでも、パラグラフを効果的に用いて、どこが序論で、どこから本論が始まって、どこで結論がくるのかはっきりと読み手に示す必要があります。
なお、序論・本論・結論の場所を見出しで知らせる場合は、だいたい以下のような表記になります。
①序論は序論、結論は結論とだけ書き、本論は章番号をつけるパターン
- 序論
- 第1章:○○○
- 第2章:△△△
- 第3章:□□□
- 結論
あるいは、
②序論から結論まで数字で連番をつけるパターン
- 1. 序論
- 2. ○○○(=本論1タイトル)
- 3. △△△(=本論2タイトル)
- 4. □□□(=本論3タイトル)
- 5. 結論
✔︎ B. 序論と結論の両方がありますか?
学生の中には、「序論」と「結論」の両方、あるいはいずれかを書き忘れる人がときどきいます。必ず両方とも書きましょう。
✔︎ C. 序論には、①どのような問題を、②なぜ論じるのかが明確に書かれていますか?
序論のようなものがあったとしても、序論に書くべきことが書けていないレポートは頻繁に見かけます。これは序論を蔑ろにする人が多いということなのですが、これは絶対に避けるべきことです。ちなみに、序論は「もっとも推敲と書き直しが必要とされるパートである」とも言われます。序論の重要性の高さを言い当てた表現です。
序論は、問題設定をするところです。書くべき重要なことはいくつかありますが、絶対になければならないのは、①どのような問題を、②なぜ論じるのかの2点です。
- ①:レポートのテーマは何なのか、レポートが解決しようとしている「問い」は何なのか、明確に示しましょう。テーマの背景も最低限書く必要があります。問いは、多くの場合、レポートの目的に変換されます。例:「なぜイギリスで初めて産業革命が起こったのか」→「本稿の目的は、なぜイギリスで初めて産業革命が起こったのかを明らかにすることにある」
- ②:レポートのテーマをはっきりと示したら、次になぜそれが取り上げるに値するのかを説明しましょう。よくある間違った書き方は、「私が興味を持ったから」というものです。かつてW大学の教授がレポートの書き方にかんするガイドブックの中で「君のことなど誰も知らない」と書きました。テーマの重要性を説明するときには、あなた個人ではなく、例えば、そのテーマが対象とする社会(例:産業革命→イギリス社会)や、それがかかわる学問領域(例:産業革命→経済史・社会史)にとってどのように重要なのかを考える必要があります。
✔︎ D. 結論は、本論で示した複数の論拠を要約・整理し、序論で設定した問いに答えていますか?
結論で必ず行わなければならないことは、以下の2点です。
- 本論で示した複数の論拠を要約・整理すること
- 序論でたてた問いに答えること
これだけで終わってもかまわないのですが、以下の2つを追加することも可能です。
- レポートの中で議論した内容や得られた結論を、別の、あるいはより大きな問題に関連付け、控えめに仮説を述べる:例えば、レポートの中で、18世紀末のイギリスにおける奴隷貿易廃止運動について論じたのであれば、それと現代のBlack Lives Matterとの関係性に言及する。
- レポートで取り組みきれなかった今後の課題を提示する:例えば、大学3年生がゼミのレポートとして、ゆくゆくは卒論に発展させていくつもりの文章を書いたときに、結論で積み残したことを示すことはあるでしょう。
2. 本論はパラグラフ・ライティングのルールにのっとって書かれてあるか

【チェック項目】
□ E. 一つのパラグラフには「一つのこと」しか書くことができません。そうなっていますか?
□ F. 各パラグラフはトピック・センテンスで書き始めていますか?
□ G. パラグラフが長すぎるということはありませんか? 複数のパラグラフに分けられるべきなのに、一つの長いパラグラフになっていませんか?
□ H. パラグラフの冒頭は全角1マス空いていますか?
✔︎ E. 一つのパラグラフには「一つのこと」しか書くことができません。そうなっていますか?
パラグラフは、レポートを論理的に展開させていくためにあります。その点で、小説や感想文の「段落」(文章を読みやすくするために、感覚やリズムを重視して区切られたもの)とは異なります。
一つのパラグラフでは、「一つのこと」しか書いてはいけません。「一つのこと」は「一つのメッセージ」、「一つの意味」と言い換えてもよいです。「別のこと」を言いたいのであれば、新しいパラグラフをつくりましょう。
✔︎ F. 各パラグラフはトピック・センテンスで書き始めていますか?
チェック項目「E」に加え、もう一つ重要なルールがあります。それは、各パラグラフは「一つのメッセージ」を要約したトピック・センテンス(topic sentence)で書き始める、というものです。
それぞれのパラグラフは、トピック・センテンスとそれ以外の複数のセンテンス(サブ・センテンスといいます)で成り立ちます。トピック・センテンスとサブ・センテンスがしっかりと関連づいているかについてもよく確認してみましょう。
✔︎ G. パラグラフが長すぎるということはありませんか? 複数のパラグラフに分けられるべきなのに、一つの長いパラグラフになっていませんか?
パラグラフ・ライティングがきちんとできていないとき、一つのパラグラフは非常に長くなる傾向にあります。絶対的な基準ではありませんが、一つのパラグラフは200〜400字になることが多いです(英語だと最大で200 words弱くらいです)。一つのパラグラフがこれ以上の長さになっている場合、パラグラフの中に複数の「メッセージ」・「意味」が入っていないか確認してみましょう。複数ある場合は、パラグラフを分割する必要があります。
✔︎ H. パラグラフの冒頭は全角1マス空いていますか?
レポートの書き手は、パラグラフがどこから始まっているのか読者に明確に示す必要があります。日本語で書かれたレポートであるならば、必ずパラグラフの冒頭は全角で1マス分あけましょう(英語の場合は、半角4つ分あいていれば十分です)。
これは、すごく基本的なことなのですが、できていない人がとっても多いです。なぜできていない人が多いのか理由はわからないのですが、もしかしたら、メールやラインで文章を書くのに慣れていて、そこでは冒頭を1マスあけないからかもしれません。でも、レポートというコミュニケーション方法と、メールやラインのコミュニケーション方法は異なります。互いの違いを理解して、両方できるようになりましょう。難しいことではありません。
なお、パラグラフの切れ目を知らせるために、パラグラフの冒頭を1マスあけるのではなく、空白の一行を入れる人がいます。特にアメリカの大学では、そうした方法を推奨するところもあるようです。どちらでもかまいませんが、私としては、冒頭1マスあける方を勧めます。どちらかよいか迷ったら、担当教員に聞いてみましょう。
3. センテンスはロジカルかつクリアに書かれているか

【チェック項目】
□ I. センテンスや文章の5W1Hが読み手にきちんと伝わっていますか?
□ J. センテンスが長すぎて論理構造が分かりにくくなっていませんか? 複数のセンテンスに分けた方がすっきりしませんか?
□ K. 主語と述語はうまく結びついていますか?
□ L. 接続詞は適切に使えていますか? 文末表現は自然ですか?
□ M. 修飾するものとされるものは近くにおかれていますか?
□ N. コロケーション(異なる品詞のつながり)は不自然ではないですか?
✔︎ I. センテンスや文章の5W1Hが読み手にきちんと伝わっていますか?
書き手にはよく分かっていることでも、読み手には伝わっていないということはよく起こることです。これを避けるために、5W1Hを常に意識してセンテンスを書くようにしましょう。5W1Hとは、つまり、①when, ②where, ③what, ④who, ⑤why, ⑥howのことです。
読み手は、「これいつの話? どこの話? xxxて何? yyyて誰? zzzってなぜどのように起きたの?」とたえず考えながら読んでいます。これがうまく伝わらないと、読み手の頭にクエスチョンマークが浮かぶことになってしまいます。例えば、あなたが「マネーロンダリングに対する反対運動が起きた」という表現をしたとしましょう。このときあなたが考えるべきは、「反対運動はいつ、どこで起きたのか、誰がなぜどのように起こしたのか、そもそもマネーロンダリングとは何か」が読み手にきちんと伝わっているかです。伝わっていないようでしたら、過不足ない程度で情報を補ってあげてください。
✔︎ J. センテンスが長すぎて論理構造が分かりにくくなっていませんか? 複数のセンテンスに分けた方がすっきりしませんか?
ときとして、3〜5行にわたる長いセンテンスをみかけます(逆説的ですが、力を込めて書いた大事なセンテンスであればあるほど、長くなる傾向にあります)。センテンスは長くなればなるほど、単語と単語、あるいは句と句のつながりが不明瞭になってきます。5行以上のセンテンスを書いてしまった場合は、複数のセンテンスに分割できないか考えてみましょう。
✔︎ K. 主語と述語はうまく結びついていますか?;✔︎ L. 接続詞は適切に使えていますか? 文末表現は自然ですか?;✔︎ M. 修飾するものとされるものは近くにおかれていますか?
K〜Mの3点は、日本語で書いているときによく起こる問題です。
K:主語と述語の関係がちぐはぐしているセンテンスは本当によくみかけます。例えば、「国際連合の目的の一つは国際平和の維持を願ってつくられた」のようなセンテンスです。
L:センテンスとセンテンスの論理的なつながりを示すときに接続詞は便利ですが、ときとして接続詞と文末表現がうまく繋がっていない場合があります。例えば、「なぜなら」という接続詞で書き始めたのであれば、「〜からである」で終わるように心がけましょう。
M:論理関係をはっきりさせるために、修飾する語とされる語はなるべく近くにおきましょう。「素早い枝の先に止まったトンボ」よりも「枝の先に止まった素早いトンボ」の方がベターですね。
✔︎ N. コロケーション(異なる品詞のつながり)は不自然ではないですか?
コロケーションが自然であるか確認しましょう。これは例えば、「トラウマを持つ」と「トラウマを抱える」のどちらがより自然な表現かを考えることです。日本語ネイティブが英語で文章を書くときは、これはもっと深刻な問題になります。Oxford Collocations Dictionaryなどコロケーションに特化した辞書を用いて対応しましょう。
I〜Nはよく起きるミスですが、ほぼすべて推敲段階で発見し修正することができます。提出直前によく見直すようにしてください。(逆に言うと、I〜Nの問題が多く残ったレポートは、書き手が十分推敲しなかったことを読み手にバラしています。)
4. 参考文献表はきちんとした形式で書かれているか

【チェック項目】
□ O. 参考文献表をつけ忘れていませんか?
□ P. 参考文献は適切な書き方で書かれていますか?
□ Q. 信頼性の低いネット記事を使っていませんか?
✔︎ O. 参考文献表をつけ忘れていませんか?
ときどき参考文献表をつけ忘れたレポートを見かけます。参考文献表には、そのレポートが何を根拠に書かれたものなのかを示す大切な役割があります。レポートの最後に、必ず書くようにしましょう。書かない場合、大きな減点対象になる可能性があります。
✔︎ P. 参考文献は適切な書き方で書かれていますか?
参考文献の書き方は学問分野によっても異なりますし、それぞれの分野の中でもいくつものバリエーションがあります。網羅的に説明することは難しいですしあまり意味がないので、ここでは書き方一覧を提示することはしないことにします。
とはいえ、最低限書くべき参考文献の「内容」は何かを示すことはできますので、それについてだけ情報を出しておきます。
- 本の場合は4点が必要な情報です:①著者名(翻訳書の場合は訳者名も)、②本のタイトル(日本語の場合は『 』で表記、英語の場合はイタリック)、③出版社名(英語の場合は出版された都市を書くこともあります)、④出版年
- 論文の場合は5点、あるいは6点が必要な情報です:①著者名、②論文名(日本語の場合は「 」で表記、英語の場合は” “か’ ‘のクオテーションマーク)、③雑誌名、あるいは論文集名(日本語の場合は『 』で表記、英語の場合はイタリック)、④雑誌の場合は号・巻、⑤出版された年(論文集の場合は出版社名も書きます)、⑥ページ番号(pp. xxx-yyyと表記)
前述のとおり「書き方」はいろいろなので、詳しく知りたい方は「参考文献 書き方」などで一度ググってみるとよいでしょう。どうしてもわからなければ教員に聞くこともできます。
最後に述べたいのは表記の統一性についてです。いろいろなタイプの表記方法を用いて参考文献を書いてはいけません。書き方は一つに絞って、全体を統一しましょう。
✔︎ Q. 信頼性の低いネット記事を使っていませんか?
ネットの情報を利用した場合は、①その情報を書いた人・団体、②情報のタイトル、③情報が書かれた日付、④あなたが情報にアクセスした日、⑤URLの引用、の5点を示さなければいけません。
ここで大事なのは、ネット情報の書き手がどこの誰か特定できないような場合、または、情報がどのようなソースを用いて書かれたものなのか明らかでない場合、そのネット情報は利用しない方がよいということです。wikipediaも参考文献表に入れてはいけません。
利用するネット情報は、権威ある学術機関や専門的研究者、官庁、大手新聞・雑誌(スポーツ紙は含まない)などが出したものに限定した方がよいでしょう。
5. その他、基本的な体裁やレイアウトにかんするルールをまもれているか

【チェック項目】
□ R. タイトルはつけましたか?
□ S. レポートの冒頭に、あなたの氏名・所属学部学科・学籍番号、授業名は書かれてありますか?
□ T. 指定された文字数に達していますか?
□ U. 誤字脱字はありませんか?
□ V. 数字を書くときは算用数字を用いていますか?(レポートが横書きの場合)
□ W. 漢字で書かない方がよい表現なのに漢字で書いてしまっていませんか?
□ X. 「です・ます調」と「だ・である調」が混ざってしまっていませんか?
□ Y. 論文にふさわしくない表現を使っていませんか?
□ Z. ページ番号を入れましたか?
□ a. 上下左右に十分な余白がとってありますか?
□ b. 見やすいフォントで書かれてありますか?
✔︎ R. タイトルはつけましたか?
特別な指定がない限り、タイトルは必ずつけましょう。内容をシャープにまとめたものがよいです。長々とした説明口調のものは避けるようにしましょう。
✔︎ S. レポートの冒頭に、あなたの氏名・所属学部学科・学籍番号、授業名は書かれてありますか?
これもごくたまに書き忘れる人がいます。必ずすべて書いてください。
✔︎ T. 指定された文字数に達していますか?
レポートの字数については、指定文字数の前後1割以内におさめられていることが想定されている場合が多いです。つまり、「2000字程度で」と指示があった場合、1800字から2200字の範囲で書いてほしいということになります。ただし、教員によって多少考え方が違うので、心配な場合は確認してみるとよいでしょう。
✔︎ U. 誤字脱字はありませんか?
誤字脱字がないかは、非常に重要な問題です。誤字脱字がないように、提出前に何度も確認しましょう。
どうして誤字脱字がよくないのか。それは、書き手がレポートに対して十分なケアを施さなかったことを暗に伝えてしまうからです。責任を十分に果たさなかったと言ってもよいです。推敲のために読み返す時間と労力の多さに比例して、誤字脱字は減っていきます。ですから、誤字脱字が目立つと、そうした時間と労力をさかなかったのだなと判断されてしまうのです。レポートの信頼性に関わる問題とも言えます。
誤字脱字を減らすには結局何度も読み返すのが一番なのですが、オススメは、プリントアウトして読むことです。パソコンの画面で編集しているのとは少し違ったモードに頭を切り替えることができ、画面を見ているだけでは気がつくことができなかったミスや誤植を発見することができます。
✔︎ V. 数字を書くときは算用数字を用いていますか?(レポートが横書きの場合)
レポートは横書きになることが多いと思いますが、その場合、数字は算用数字を用いましょう(つまり漢字で数字を書かないようにしましょうということです)。いろいろ意見がありますが、半角表記がよいと思います。
もう一つ大事なことは、統一性です。半角になったり全角になったり、算用数字になったり漢数字になったりしないようにしましょう。
✔︎ W. 漢字で書かない方がよい表現なのに漢字で書いてしまっていませんか?
一般的に機能語と呼ばれる漢字表現に多く当てはまります。例えば、「〜する為」、「それ故」、「〜する物」、「〜する事」、「従って」、「如何に」、「所謂(いわゆる)」などはすべてひらがなで書いた方がベターです。「無い」とか「有る」も同様です。最近はテレビを中心にマスメディアもこのような言葉を漢字にしてしまっていますが、皆さんはそれにならう必要はありません。
✔︎ X. 「です・ます調」と「だ・である調」が混ざってしまっていませんか?
日本語論文に限定的な問題ですが、しばしば見かけます。なぜこのようなことが起こるのかははっきりはわかりません。おそらく、口頭発表の原稿を下敷きにレポートを書いていて、うっかり「です・ます調」を「だ・である調」に変換し忘れてしまったのでしょう。
確かに細かなことではあるのですが、「です・ます調」と「だ・である調」がミックスしたレポートは、読み手によい印象を残しません。これは、チェック項目「U」の誤字脱字の箇所で言及した「責任」と「ケア」の欠如の問題につながります。
✔︎ Y. 論文にふさわしくない表現を使っていませんか?
論文で使わない方がよい表現の代表は、口語表現です。例えば、「〜みたいに」、「どんどん」、「すごい」、「でかい」、「同じな」、「色んな」、「いっぱい」、「スカスカの」、「とりあえず」、「親玉」などの表現です。どうしても幼い印象を与えてしまいます。
上の例はそれぞれ以下のように直せます。「〜みたいに」は「〜のように」、「どんどん」は「次第に」、「すごい」は「重要である(など)」、「でかい」は「大きい」、「同じな」は「同様の」、「色んな」は「様々な」、「いっぱい」は「多い、多く」、「スカスカの」は「隙間だらけの、空の」、「とりあえず」は「ひとまず」、「親玉」は「支配者(など)」。
「そんな中」もよく見かけますが避けたいですね。「昔」も曖昧です。
「思う」、「感じる」もなるべく避けて、他の言い方ができないか考えてみましょう。
「私は」、「僕は」、「自分は」という表現も使わないようにしましょう。チェック項目「C」で言及した「君のことなど誰も知らない」問題と直結します。
✔︎ Z. ページ番号を入れましたか?
ページ番号は入れてあげた方が親切です。wordで簡単にできます。
もしもやり方がわからなければ、ググってみてください。
✔︎ a. 上下左右に十分な余白がとってありますか?
レポートは、上下左右に十分な余白を残しましょう。wordでレポートを書いているのでしたら、初期設定の余白の大きさでひとまずはOKです。レポートを紙1枚になんとかおさめたいから余白を少なくしたいという学生がときどきいます。気持ちはわからないではないですが、読み手への配慮を優先させた方がよいです。というより、せっかく一生懸命書いたレポートなのですから、読みやすい状態で読んでもらうのが一番です。
✔︎ b. 見やすいフォントで書かれてありますか?
チェック項目「a」と関係しますが、読みやすさを重視しましょう。フォントは明朝、ポイントは10.5でOKです。英語で書く場合はTimes New Romanが基本ですが、それ以外のフォントを選ぶ人もいます。なににせよ、相手が読みやすいと感じるかという観点からフォントとポイントを設定してください。
まとめ
以上、レポートを提出する前に確認すべき5つのポイントについて整理してきました。
これら5つのポイントをしっかりクリアできていれば、レポートで失敗するという事態はひとまず避けることができるはずです。
レポートがきちんと書けるかどうかは、大学生の重要な資質の一つです。
少しずつでよいので、着実に技術を磨いていってください。大学を卒業したあともずっと役に立つ技術です。
Success is the sum of small efforts!
ブログ主のプロフィール:
大学で英語とイギリス文化を教えています。イギリスに5年間留学していました。本ブログでは主に英語学習とイギリス文化について記事を書いています。
Twitter: @camp_hakase