
大学で英語の授業をしていると、学生からよくこんな質問をされます。
「英語学習を進めるにあたって、そろえておいた方がよい辞書とかアプリってありますか?」
「英語の勉強に役立つ辞書・アプリで何かオススメなものありませんか?」
このような疑問は、学生のみならず多くの英語学習者がもっているものです。
本記事では、こうした疑問に答えるべく、英語学習を進めるためにそろえておくべき辞書を紹介していきます。
✔︎ 本記事の内容:
英語学習を効果的に進めるために必須の辞書を紹介
話をわかりやすくするために、以下2つを区別して解説していきます。
- ①紙媒体・電子辞書のコンテンツ
- ②アプリやウェブサイト
②については、無料で利用が可能なものを紹介します。
どの辞書を使うべきかは英語学習者の到達レベルによります。本記事では、①については、中級から上級の方を主なターゲットに話を進めていきます(別のレベルの方に有用な辞書については、また別の機会にまとめます)。「中級から上級」の一応の目安は、英検準2級から1級をお持ちの方、あるいはそれくらいの英語力(高校英語中級以上)をお持ちの方となります。
②については、どのレベルの方でも十分利用できるものです。
✔︎ 本記事のフローチャート:
- 英語学習の基礎を支える辞書
- 英語学習に役立つ辞書アプリ・ウェブサイト
1. 英語学習の基礎を支える辞書

英語学習を進めるにあたって、以下の4つのタイプの辞書は持っているべきです。電子辞書をお使いの方はこれらが入っているかどうか確認してみてください。
- 文法・語法に強い英和辞典
- 語彙特化型英和辞典
- 類義語辞典(シソーラス thesaurus)
- コロケーション辞典(collocation)
もしもこれらの辞書をお持ちでない場合は、必要に応じてそろえていくようにしましょう。
また、これらがお持ちの電子辞書に入っていない場合、急いで新しいものを用意する必要はありませんが、買い替えのタイミングでこれら4つが入っているものを購入するとよいです。
1)文法・語法型に強い英和辞典
このタイプの辞書で一番のオススメは『ジーニアス英和辞典』(第5版;大修館書店、2014年)です。大学受験では定番ですね。多くの電子辞書にも入っています。
もちろん、文法・語法については、先日本ブログでも取り上げた『一億人の英文法』などの別のテキストを用いてマスターしていった方がよいでしょう。(是非こちらの記事もご覧ください。)
しかし、それでも、そうしたテキストに書かれてない説明が必要になる場合があります。そのようなときに『ジーニアス』の丁寧な解説・説明は役に立ちます。
もちろん基本的なものでしたら語彙やフレーズもしっかりと載っているので、そうした観点からも優れた辞書です。
2)語彙特化型英和辞典
『ジーニアス』でもそれなりの語彙はカバーすることができますが、英字新聞・雑誌、専門書などになると載っていない単語がよく出てくるようになります。そのようなときに非常に役立つのが語彙特化型辞書です。もしも『ジーニアス』レベルの辞書には載っていない語彙で書かれた文章を読むようになったら、このタイプの辞書を手にしてみてください。
代表的なもののは『リーダーズ英和辞典』(第3版;研究社、2012年)と『リーダーズ・プラス』(研究社、2000年)です。
この辞書を引けば、かなり専門的な用語(歴史的事象、人物、団体、法律、概念など)についても訳語を知ることができます。
電子辞書をお使いの方は『リーダーズ』が入っていますか? 英語重点型の電子辞書だと、割と『リーダーズ』・『リーダーズ・プラス』ともに入っているはずです。
ちなみに私は専門的な英文講読が始まった大学3年生から『リーダーズ』をよく使うようになりました(そして大学院では手放せなくなりました)。
3)類義語辞典(シソーラス thesaurus)
類義語辞典は、類似した意味の単語を探したいときに役に立ちます。
例えば、英会話でI thinkばかり使ってしまっていることに気がつき、同じような意味で他の単語がないか知りたいとします。そのようなときに、類義語辞典を引いてみるとよいです。(類義語辞典を引くとthinkの類義語として、suppose, fancy, imagine, ponder, believeなどたくさん見つかります。)
定評のあるものを挙げるとすれば、以下の3冊です。
- Oxford Learner’s Thesaurus (Oxford University Press, 2008) *CD-ROMつきのものもあります(Mac・Windowsともに対応)
- 『小学館 オックスフォード英語類語辞典辞典』(小学館、2011年)*上の辞書の日本語版です
- Roget’s Thesaurus (Penguin, 2004)
電子辞書をお使いの場合は、上の3つのもの以外であれ、ひとまずは何か一冊が入っていればOKです。
4)コロケーション辞典(collocation)
コロケーション辞典とは、自然な「語と語とのつながり」を教えてくれます。ある品詞が他の品詞とどのように組み合わされることが多いのか知ることができる、と言い換えてもよいです。
例えば、この辞書を引けば、powerという名詞が”authority/control”の意味で使われる場合、形容詞についてはabsolute, real, limited, legalなどと、動詞についてはseize, return to, exerciseなどと組み合わさるのが自然な英語であることを知ることができます。英語で論文や少し長めの文章、メールを書くときは欠かせない辞書です。
コロケーションの辞書もそれなりの数が出ています。ひとまず何か一冊電子辞書に入っているか確認してみてください。
個人的なオススメは以下のものです。
- Oxford Collocations Dictionary (Oxford University Press, 2009)*CD-ROMつきのものもあります(Windowsのみに対応)
- 『小学館 オックスフォード英語コロケーション辞典』(小学館、2015年)*上の辞書の日本語版です
以下のものについてはスマホアプリでも利用できます(有料)。(*値段は今後異なってくる可能性があります。)
- 『ジーニアス英和・和英辞典(第5版・第3版)』 5,140円
- 『リーダーズ英和辞典(第3版)』 8,000円
- 『小学館 オックスフォード英語類語辞典辞典』 2,820円
- 『小学館 オックスフォード英語コロケーション辞典』 2,820円
【オススメの電子辞書】
最後に、数ある英語学習特化型の電子辞書の中から、『ジーニアス英和辞典』(+『和英辞典』)、『リーダーズ英和辞典』(+『リーダーズ・プラス』)、Oxford Learner’s Thesaurus、Oxford Collocations Dictionaryがすべて入っているものを挙げておきます。(*値段は2020年9月26日時点でのAmazonのものです。今後異なってくる可能性があります。)
✔︎ CASIO XD-SX20000 53,200円(公式HPの紹介サイトはこちら)
✔︎ CASIO XD-SR20000 46,600円(公式HPの紹介サイトはこちら)
✔︎ CASIO XD-SX9800 40,200円(公式HPの紹介サイトはこちら)
✔︎ CASIO XD-SR9800 26,500円(白)・28,400円(黒)(公式HPの紹介サイトはこちら)
これら4つの電子辞書は、上で紹介した4種類の辞書以外に、toeicの公式問題集やキクタンなど英語学習に役立つコンテンツが盛り沢山に入っています。
内容が気になる方は、上に公式HPの紹介サイトのリンクを貼っておきましたので、一度チェックしてみてください。
2. 英語学習に役立つアプリ・ウェブサイト

アプリやウェブサイトでも無料で利用できる便利な英語辞書が増えてきていますね。
本記事では4つご紹介いたします。
1)英辞郎 on the WEB
単語やフレーズを簡単に検索できるとても便利なアプリです(ウェブサイトでも利用可能です)。用例紹介もかなり豊富でhandy。日本語検索もできます。英和・和英を兼ねた辞書です。
機能や例文が拡張された「英辞郎 on the WEB Pro LITE」(無料)と「英辞郎 on the WEB Pro」月額330円(税込)もあります。
ひとまず通常版を無料で利用してみて、必要が出てきたら拡張versionのユーザ登録をしてみるとよいでしょう。
2)weblio
英辞郎と類似した英和・和英辞典です。アプリでもウェブサイトでも無料で利用することができます。必要に応じて英辞郎と使い分けるとよいです。
英辞郎にはないweblioの便利な特徴は、英語力診断やスピーキングテストを受けられることです(基本的に無料です)。英語力の確認のために、気軽にトライしてみてください。
3)Oxford Learner’s Dictionaries
ものすごく優秀なオンライン英英辞典です。残念ながら今のところ無料で使えるのはウェブサイトのみとなっています。
https://www.oxfordlearnersdictionaries.com
本サイトの有用な特色は以下の通り。
- 用例や例文がかなり豊富
- 一部だがコロケーションがみられる
- イギリス英語とアメリカ英語を区別して発音記号を記載している
- 「BrE」と「NAmE」のアイコンをクリックすると、イギリス英語とアメリカ英語を区別して音声出力してくれる
私が特に便利だと思うのが3番目と4番目です。英語学習者の中には、イギリス英語とアメリカ英語どちらかに特化して学びたいと考えている人、あるいはイギリス英語とアメリカ英語の違いに興味がある人がいると思います。そうした方々にはとても便利な機能です。
4番目の「音声出力」の便利さは言うまでもないですね。
4)オンライン版ロングマン現代英英辞典
こちらもものすごく優秀なオンライン辞書です。こちらはアプリがありますが3500円ほどの値段がするので、ウェブサイトを利用した方が便利かもしれません。
https://www.ldoceonline.com/jp/
本サイトの有用な特色は以下の通り。
- 英英辞典のみならず、英和辞典・和英辞典としても使える
- 用例や例文がかなり豊富
- 一部だがコロケーションがみられる
- 英英辞典の場合、例文も音声出力してくれる
1番目は非常にありがたい機能ですね。
4番目は発音の勉強にとても効果的です。
まとめ
本記事の内容を整理し直すと以下の通りとなります。
- そろえておくべき辞書は、①文法・語法に強い辞書、②語彙特化型辞書、③シソーラス辞典、④コロケーション辞典です。電子辞書を買う場合は、これらがそろっているものにしましょう。
- 無料で利用できるアプリやウェブサイトの辞書を効果的に使っていきましょう。
効果的な英語学習に優秀な辞書は不可欠です。
うまく使いこなしながら英語力を強化していってください。
ブログ主のプロフィール:
大学で英語とイギリス文化を教えています。イギリスに5年間留学して博士になりました。本ブログでは、主に英語学習とイギリスの歴史や文化について記事を書いています。
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