
こんにちは、大学で英語を教えているカムパネルラ博士です。
学生と話していると、ときどきこんな発言が飛び出します。
「英文法おぼえるのめちゃくちゃ大変でヤダ」とか、「英文法ってなんか、時制とか仮定法とか項目多すぎじゃない?(=無理、やりたくない)」とか。
気持ちはわからないでもありません。
というのも、定評のある英文法の参考書どれを開いてもなんだかたくさん章があって、「多いなぁ…」と感じちゃうのも無理はないから…(そしてページ数もかなりありますね。)
でも、しかし、それにもかかわらず、こう断言したいです。
「英文法は簡単にマスターできるのだ!」と。
これが大学と予備校で長く英語を教えてきた私の結論です。
✔︎ ということで、今日のトピックは、
「なぜ英文法は簡単にマスターできると言い切れるのか」です。
✔︎ 本記事の
フローチャート:
- 英語の「知識」は、①語彙と、②文法で成り立つ
- 語彙は「無限」だけど、文法は「有限」
- 3ヶ月後にはネイティブレベル
ちなみに、「2」がお話の核心です。
1. 英語の「知識」=語彙+文法

英語学習は「技術」と「知識」の分野に区別することができます。
- 正しい発音で話したり、正確に聞き取ったりするのは「技術」の分野
- 一方、「知識」の分野は、基本的に「覚える」作業が中心で、語彙(vocabulary)と文法(grammar)の二つに分けられます
語彙は、主に、単語や熟語ですね(構文など定型フレーズも含んでもよいでしょう)。
文法は、次のようなだいたい20くらいの項目から成るもの
文、名詞、冠詞、代名詞、疑問詞、形容詞、副詞、比較、動詞、時制、助動詞、不定詞、分詞、動名詞、法、態、接続詞、関係詞、前置詞、一致、時制の一致と話法、否定、倒置・省略・強調・挿入、文の転換
2. 語彙は「無限」、文法は「有限」である

英文法の知識として覚えるべき範囲は、上にあげた約20の項目です。たしかに多いかもしれない。
でも、逆に、「その約20の項目が英文法のほぼすべてなのだ」と発想してみることもできそうです。言い換えれば、この20項目をマスターしてしまえば、覚えなくてはいけないことはもうそれ以上特にないってこと。これって、かなり重要な気付きじゃないですか?
本屋さんに立ち寄っていくつか英文法の参考書を手に取り、目次をパラパラめくって比較してみればすぐに気がつくと思いますが、どれもほぼ同じ文法項目しか取り上げていません。違うのは説明の仕方とかアプローチ方法だけ。
ここからわかることは、習得すべき英文法の範囲ははっきりと決まっている、ということ。それも、だいたい参考書1冊分におさまっちゃうくらいの量にすぎないわけです。
たしかにその1冊は「重い」かもしれない。でも、その一冊以上に覚えなきゃいけないことはほとんどありません。そう考えることができれば、かなりポジティブな気持ちになれるのではないでしょうか。
英文法の範囲は有限である、このことを次のように言い換えることもできます。つまり、英文法の参考書を1冊しっかりと読みこみ、そこに書かれてある内容を習得してしまえば、文法にかんしては、はっきりいってネイティブと同等のレベルに達したことになるのだ、と。
(ネイティブレベルになるためにどの参考書を使うのがよいのかについては、また今度べつの記事にまとめますね。)
これは語彙と正反対の特徴です。なぜなら、語彙は「無限」だから。
英文法にかんしては基本的に参考書を1冊仕上げればOK。
でも、語彙については、例えば、単語帳を1冊覚えたからすべての語彙をマスターした、ということにはなりません。もちろん2冊やろうが、3冊やろうが同じことです。完全制覇にはいたりません。
この記事を読んでくれている方のほとんどは日本語ネイティブだと思いますが(私もです)、私たちにとっての日本語も同じようなものです。
日本語ネイティブのほとんどの人は、正しい日本語文法と間違った日本語文法を見極めることができるでしょう(ときどき間違うことはあるかもですが、指摘されたら「あ、そうか」と気が付くはずです)。
つまり、日本語ネイティブは日本語文法をマスターしているわけです。でも、日本語ネイティブがすべての日本語の語彙をマスターしているかというと絶対そんなことはない。というか、そんなこと不可能です。
あのぶあっつい『広辞苑』にのってる単語を全部知っている人ってちょっと想像できないですよね。しかも、『広辞苑』にのっている単語が日本語世界に存在するすべての単語ではないという。。くらくら。。
✔︎ 整理してみましょう。
- 「語彙」をすべてマスターするのは無理ゲー(たとえネイティブであっても)。
- 「英文法」はかなりはっきりとしたゴールがある。そして、ネイティブじゃなくてもマスターできる。
3. 3ヶ月後にはネイティブレベル

英文法にかんしては3ヶ月でネイティブレベルに到達するのも難しいことではありません。もっと早い人もいるかもです。
英文法の知識がまったくゼロであるひとは少ないでしょうから、そういったひとにとって、3ヶ月=90日という期間は英文法をマスターするのにわりと十分な時間です。
600ページある英文法の参考書を例に考えてみましょう。
- 毎日15ページずつ進めて、全体的に一周する。【45日間】
- そのあと理解が浅い項目にフォーカス。項目が7つあるとして、それぞれ3日ずつ使う(21日間)。2周して理解度を深める。【42日間】
合わせて87日です。
あくまでも仮の計算にすぎませんが、すくなくともこう考えればできそうな気がしてきますよね。
もちろん英文法をほぼゼロから始めるひともいると思います。そうしたひとはもっと時間がかかるでしょう。でも、やっぱり強調したいのは、「英文法について覚えなくてはいけないことは有限である」ということです。
いつか必ずゴールがくる。しかもそんなに遠くない未来に。
ひとことアドバイスをすると、英文法をマスターする作業はあまりダラダラ長引かせない方がよいです。
英文法のベースがどれくらいあるのかにもよりますが、自分の英語力とよく相談しながら、期間を決めて計画的に勉強を進めていくことをオススメします。
ここまで読んでいただいた方にあらためて言うまでもないかもしれませんが、「単語と文法どっちを先にやった方がよいの?」というよく聞かれる質問に対しては、以上のことを根拠に、はっきりと「文法です!」と答えます。
まずは「文法」をネイティブレベルにしてから、そのあとに「語彙」をネイティブレベルに近づけていく作業をしましょう、ということですね。
まとめ
- 英文法の範囲は「有限」であり、適切な参考書を1冊やればマスターすることができる
- 「文法書一冊に書かれてある内容をマスター」=「英文法にかんしてネイティブレベル」
英文法は、読む・書く・話す・聞くの4つの技能すべてにかかわる、英語力の土台です。ここをいち早くネイティブレベルにしてしまうことで、スムーズな英語力の向上が期待できます。
「英文法にかんしてはネイティブレベル」と思えれば、ともかくそれだけで大きな自信になります。一日でも早くその段階に到達してしまいましょう。
I’m very sure you can make it!
ブログ主のプロフィール:
大学で英語とイギリス文化を教えています。イギリスに5年間留学していました。英検1級。本ブログでは主に英語学習とイギリス文化について記事を書いています。
Twitter: https://twitter.com/camp_hakase
[…] さ」や、覚える事項の有限性については、「英文法の学習は簡単である、と言い切れる理由」というタイトルの別記事で説明しています。ご興味があればそちらの記事もご覧ください。) […]