
「英語で世界的名著を読んでみたい」という望み・願望は、多くの英語学習者が持っていますよね。
でも、「何百ページもあるし、すごく時間がかかるだろうから手が出ない」とか、「頑張れば読み通せるかもだけど、途中で挫折しそう」という現実的な悩みがあるのも事実です。
こうした「理想」と「現実」の板ばさみを解消してくれる優秀なアプリがあります。それは、Blinkist(ブリンキスト)です。今日はこれについてお話しします。
✔︎ 本日のテーマ:
→ 世界的名著を英語でサクサク読むのに、Blinkistは超オススメである。
実は私もBlinkistユーザーです。利用し始めて約1年になりますが、Blinkistをつうじて300冊以上本を読みました。大学でも学生にすすめていて、実際に利用を始めた学生は学習効果を実感しています。
今日は、これまでの利用経験から気がついたことをベースに、Blinkistがどのようなアプリなのか、なぜ・どんな感じでオススメなのかについて説明します。
✔︎ 本記事のフローチャート:
- Blinkistとは?
- メリットと注意点
- 最近新たに追加されたサービス
- オススメの利用方法
1. Blinkistとは?

Blinkistは、世界で約1,000万人のユーザーを持つ人気アプリです。サービス開始は2012年。スマホやタブレット、パソコンなどの端末から利用できます。
Blinkistの基本的なサービス内容については、HPにある以下の一文につきます。
“Read or listen to the key ideas from bestselling nonfiction titles in 15 minutes.”
「ベストセラーとなったノンフィクションの中心的なアイデアを15分で読む・聞くことができる」
(*「中心的なアイデア」は、「要約」とか「概要」と言い換えてもよいです。)
つまり、どんなに分厚い大著でも、およそ15分という短い時間で、原著の内容全体を「読む」あるいは「聞く」という方法で知ることができるというわけです。
(ただし、あつかっているのはノンフィクションだけなので、小説などフィクションは含まれません。)
「聞く」という部分が気になった方もいらっしゃいますよね。Blinkistは、タイトルの非常に多くをネイティブによる音読で楽しむことができます。ですから、Blinkistを利用することで、Reading力だけではなく、Listening力の向上も期待できるのです。
1冊の本を読み終える(聞き終える)のにあまり時間がかからないわけですから、新しい本に次々と挑戦する余裕が生まれます。つまり、Blinkistを活用することで、「多読」と「多聴」が可能となります。
(ちなみに、Blinkistというアプリ名のもとになっている“Blink”という単語は「まばたき」という意味です。誇張された表現ではあるけれど、インパクトはありますよね。)
Blinkistのコンテンツから知ることができるのは概要・要約のみです。ですから、原著に書かれてある細部まで知ることはできません。でも、Blinkistは原著への導きの糸にもなっています。つまり、要約を知った後に、もしもその本をよりしっかりと理解したいと思うのであれば、原著を購入してみればよいというわけです。
タイトル数は現在すでに3,000以上あって、しかも毎月30ほど新しいタイトルが追加されています。読みたい本がなくなる心配はありません。
取り上げられているタイトルが多岐にわたっているのも大事な特徴です。全てのタイトルは、以下の27の分野に分けられていて、何か特定の分野に偏ってはいません。本当にいろいろな分野の本を読んだり聞いたりできます。古典と呼ばれる名著も結構たくさんありますよ。
- Career & Success(キャリアと成功)
- Society & Culture(社会と文化)
- Sex & Relationships(セックスと人間関係)
- Science(科学)
- Religion & Spirituality(宗教とスピリチュアリティ)
- Psychology(心理学)
- Productivity(生産性)
- Politics(政治)
- Management & Leadership(マネジメントとリーダーシップ)
- Personal Development(自己啓発)
- Parenting(子育て)
- Nature & Environment(自然と環境)
- Motivation & Inspiration(モチベーションとインスピレーション)
- Money & Investments(金と投資)
- Mindfulness & Happiness(マインドフルネスと幸福)
- Marketing & Sales(マーケティングとセールス)
- Philosophy(哲学)
- History(歴史)
- Health & Nutrition(健康と栄養)
- Entrepreneurship(起業家精神)
- Education(教育)
- Economics(経済学)
- Creativity(創造性)
- Corporate Culture(企業文化)
- Communication Skills(コミュニケーション・スキル)
- Technology & the Future(テクノロジーと未来)
- Biography & Memoir(伝記と回想録)
これだけの内容なので、有料サービスとなります。契約プランは以下の2通りです。
- 年間契約:9,900円(一括支払いですが、月割りすると825円支払う計算になります)
- 月々契約:1,600円
考え方次第ですが、年間契約の方が間違いなくお得感はあります(私もそうしています)。無料で7日間利用できるフリートライアルがあるので、まずはそこでお試しで使ってみて、利用するのであればどちらの契約プランがよいか考えてみるとよいです。
2. メリットと注意点

✔︎ メリット:
続いて、Blinkistの特筆すべきメリットをご紹介したいと思います。細かいことまでいろいろ入れるともっとあるのですが、ひとまず5点です。
- 英文は人の手によるもの:すべての文章は人の手で書かれています。ですから、AIが機械的につくったようなぎこちない英文はいっさい出てきません。安心してReadingに集中できます。
- 辞書を引く手間いらず:スマホの場合は単語を長押しすれば、パソコンの場合は単語を右クリックで訳がでてくるので、辞書を持ち歩く必要はありません。
- オフラインでも読める:ダウンロードが可能なので、ネットにつながっていなくても読むことが可能です。
- ネイティブによる音読:Listening力アップにはもってこいの機能ですね。アメリカ英語が中心ですが、ときどきイギリス英語にも出会えます。
- 視野をひろげることができる:いろいろな分野のタイトルがあるで、これまであまり読んでこなかったけどちょっと興味がある分野の本もつまみ食いすることができます。
✔︎ 注意点:
少しだけ注意点もあるので、それについても書いてみますね。
- 中・上級者向け:コンテンツがレベル分けされているわけではないので、語彙と文法の両面で基礎力がないと十分楽しめないかもしれません。
- 実際は15分じゃ読み終わらないことが多い:あくまでも個人的な感想ですが、英語力が高い人が、よく知った分野の本を選んだら15分で読み終わるという感じです。「聞く」場合でも、音読が終わるのに15分以上かかるものもあります。
- 契約利用しないと、Blinkistに入っている本のタイトルすべてを知ることができない:契約利用しない場合、各分野から数点しかタイトルを知ることができません。ただ、最近とても工夫のあるリストがでました。網羅的ではないですが便利です。
- ちょっと高い買い物:やっぱり値段が気になる方はいらっしゃるかもしれません。。
以上が注意点なのですが、「やっぱりメリットの方が断然大きい」というのが1年間使ってきた感想です。世界的名著をいつでもどこでも読んだり聞いたりできるのはとっても楽しいです。英語力が伸びるだけでなく、知識も増え視野も広がります。
気になる方は、ぜひフリートライアルを利用して、タイトルやサービス内容について確認してみてください。私も年間サブスクを決断する前にはそうしました。
3. 最近新たに追加されたサービス

Blinkistは、上で紹介した柱となるサービスに加えて、最近新たな試みを始めています。
①オリジナルコンテンツの配信と、②オーディオブックの割引販売です。
①オリジナルコンテンツの配信:
サブスクしている会員全員が無料で利用できます。今のところ、以下の4つのコンテンツがあるようです。音声のみの配信で、スクリプト(音声を文字化したもの)はありません。
- Simplify:Blinkistが取り上げてきた本の著者へのインタビュー。各エピソードは30〜45分くらいの長さです。「ながら作業」で聞き流すのにも便利そうです。
- State of Mind:「世界でもっともイノヴェイティブな著者、企業家、アスリート、アーティスト」の紹介。各エピソードは20〜35分とこちらも長めです。
- Checking In:リモートで活躍するいろいろな業界のエキスパートが経験した葛藤や達成を紹介。各エピソードの長さは10分弱です。
- 2 Minutes with Seth Godin:Blinkistにも多くのタイトルがおさめられているアメリカの著作家セス・ゴーディンが、特定のテーマについて斬新な切り口で語るもの。短い時間で新しい発想やアイデアを知ることができておもしろいですし、ちょっとしたすき間時間をうめるのにぴったりです。
②オーディオブックの割引販売:
オーディオブックは、原著を最初から最後まで音読したものです(要約ではないということ)。ですから、本の長さによって、音読の長さも異なります。短いものだと1時間くらい、長いものだと15時間というのもあります。
契約利用している会員には割引サービスがあります(割引率は本によって異なります)。
例えば、日本語訳も出ているベストセラーYuval Noah Harari, Sapiens: A Brief History of Humankindは、非会員の場合3,680円なのですが、会員だと1,840円と半額になります。Amazonで利用できるAudibleの定価が4,200円なのでかなりお得ですね。(*ただし、AmazonはAmazonでよりリーズナブルな利用を可能にするサービスを提供しているので、オーディオブックの利用に関してBlinkistの方がベターであるとは簡単には言い切れません。)
4. オススメの利用方法

最後に、Blinkistを使い始めてもうすぐで1年という私の利用方法を短くご紹介いたします。
ちなみに、アプリはスマホとタブレット両方に入れていて適当に使い分けています。アプリは複数の端末に入れておいても勝手に同期してくれるので便利です。
- 毎日1冊:できれば毎日、時間が取れなくとも2日に1冊は読むよう習慣づけています。契約プランがそれなりの値段なのでもとを取りたいだけかもですが、定期的に使うようにして英語力と知識の向上に努めています。
- 聞きながら読む:だらだら読んでいると緊張感に欠けてしまうことがありますし、聞くだけというのも手持ち無沙汰になってしまうので、できる限り聞きながら読むようにしています。こうすることで、すくなくともネイティブが読む速さで理解しなければと文章に集中できますし、同時に単語の発音もチェックできるので一挙両得です。
- 買う前に読む:私は英語やイギリス歴史・文化を教える大学教員なので、職業柄いろいろと洋書を読まなくていはいけないのですが、購入前にその洋書の内容を知りたいときは、Blinkistのタイトルに入っていないかチェックするようにしています。事前にBlinkistで内容を知ることで、買うか買わないかの判断基準にできます。
まとめ
以上、Blinkistについてまとめてきました。
あらためてBlinkistのメリットを整理すると以下のとおりです。
- 英語で書かれた古今の世界的名著の内容を短い時間で知ることができる。
- 英語のReading力とListening力を向上させることができる(ただし、英語の基礎力は必要)。
- 知識を増やし、視野をひろげることができる。
- 新しいサービスが試みられていて、まだまだ成長していくことが期待できるアプリである。
ちょっと値は張りますが、それに見合うだけのリターンは十分あります。
ぜひ一度フリートライアルを試してみてください。
ブログ主のプロフィール:
大学で英語とイギリス文化を教えています。イギリスに5年間留学していました。英検1級。本ブログでは主に英語学習とイギリス文化について記事を書いています。
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